吹き上げ銘柄は、数日以内に規制がかかる
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値上がり率ランキングから底値株を探していると、吹き上がっている銘柄が見つかることがある。
つい数日前まで、売買代金が殆どない閑散銘柄が急激に値を上げて、それまでの数十倍以上の売買が行われる。
それでまるで「狼煙が上がったような」チャートができる。
突然、吹き上がる株・銘柄の日足チャート
こういう場合、なぜ突然上がり始めたのかは、いろんな原因・理由があるだろう。
いままでずっと赤字だった決算が黒字転換したとか、新しい事業に乗り出したとか、有力企業と提携したとか、そういうちょっとした材料で株価が上がり始める。
そして値上がり率ランキングを見て、上昇銘柄を探しているデイトレーダーたちが群がり、たちまちのウチにストップ高まで株が買われたりする。
つい数日前まで殆ど無風だった銘柄が、突然脚光を浴びて猛烈に売買されて株価が上がる。
ストップ高が何度か続いたり、長い陽線が出た次の日は、逆に長い陰線が出たりして、株価が乱高下する。
そういうことが数日続くと、東証から「日々公開銘柄」に指定される。
日々公開銘柄とは、信用取引残高を毎日公表する銘柄で、前日の信用買い残や信用売り残(空売り残)が毎日発表される。
信用買い残や信用売り残が積み上がっていくと、いつかどこかで大きな反対売買が行われ、急激な株価の変動が起こりやすい。
そのため、加熱しすぎな取引に注意勧告の意味で、信用取引残高とその増減の様子を毎日発表するのだ。
そしてさらに数日後には、増し担(ましたん、増担保規制)が発表され、信用取引を新規に行う際の条件が厳しくなる。
委託保証金率引き上げで下落
増担保規制(増し担)とは、特定銘柄の過剰な売買を冷ますために、信用取引の条件を厳しくすることだ。
具体的には、最低30%だった委託保証金率を、50%以上に引き上げて、新規取引を抑える。
現金の割合も引き上げられる。
信用取引を行うには、売買する価格の30%以上の委託保証金が必要となるのだが、その割合を50%以上に引き上げて、新たな信用取引にブレーキをかけるわけだ。
ただしこの規制は、現物株売買には適用されない。
また指定銘柄を信用取引で売買する際にのみ適用される制限である。
なので新たな売買をする際には現物株のみで売買するか、信用取引を清算して他の銘柄に乗り換えるかということになる。
そうなると「売買に参加する人」が減り、「売買代金も減る」ので、過熱が沈静化する。
今までは、旺盛な買いによって値上がりしていた株が、買いが弱くなって売り優勢になり、下がり出す。
つまり上昇銘柄をつかんだと喜んでいても、増し担保規制がかかると下落トレンドに転換したりするので、「日々公開銘柄指定」や「委託保証金率引き上げ」というニュースが出るかどうか、注意しないといけない。
信用取引で買い建てしようと思ったら、急に買い建てできなくなったりするし、たとえ自分が信用取引をしていなくても、トレンドには大きく影響することがあるから。
因みに、委託保証金率引き上げを行っても、過熱が収まらない場合は、さらに引き上げが行われ、信用取引自体が停止になることもある。