貸株注意喚起で株価は上がる?下がる?
更新日:
貸株注意喚起が出ると株価はどうなるか。
これはケースバイケースなので、何とも言えない。
まず株価上昇中に貸株注意喚起が出たり、売り停止になったりすると、株価は上昇しやすい。
というのも貸株注意喚起が出るときは、すでに逆日歩がついているはずなので、買い戻し圧力が強いからだ。
しかし売り停止になったから株価が上がるとは言えない。
というのも、貸株不足で売り禁になると、同時に増し担保規制がかかることが多いので、信用買いする人も減って、買いの力も弱まるからだ。
貸株不足は、相場の過熱感の表れでもあるので、信用取引規制がかかる事が多く、増し担保規制が入ると、売買参加者ががくっと減ってしまう。
というのも売り停止になると、売ってすぐに買い戻して儲けることができない。
つまり売りから入って資金を回転させる売買ができなくなる。
また増し担保規制がかかると、信用取引で売買できる株数も減るから、買って売るという形で回転させる方もやりにくくなる。
となると、デイトレーダー達は、規制なく自由に売買できる銘柄を求めてさっさと株を売って他の銘柄に移動してしまうからだ。
そうなると売買代金は何割も減ってしまうことになるので、売り停止になったら、ピークになることも多い。
ただし、貸株注意喚起・新規売り停止になっても、株価が爆上げするケースもある。
それは株価が上昇中に貸株注意喚起・新規売り停止になった場合だ。
要するに、買いの勢いが衰えない状態で、貸株注意喚起・新規売り停止になると、踏み上げ相場になる。
とある東証一部上場企業の日足チャートで、貸株注意喚起後の様子を見てみることにする。
この銘柄は、株価上昇中に貸株注意喚起が出て、株価下落中にも貸株注意喚起が出ているから面白い。
上昇銘柄で貸株注意喚起のパターン
ストップ高で貸株注意喚起なら、爆上げパターン
下の図の日足チャートは、新しい業務用アプリを開発して、それでストップ高になった銘柄のチャートだ。
普段はそれほど人気のない東証一部企業だが、業務用アプリ開発完了の発表で、株価が急上昇してストップ高になったが、3日目(2日後)になんと逆日歩が発生した。
逆日歩が発生するということは貸株不足ってことだが、株価がグングン上がっているのにもかかわらず、空売りする投資家が多かったらしい。
そして翌日もストップ高になったのだが、ここで貸株注意喚起が出て、逆日歩も2.4になった。
逆日歩2.4とは、一株当たりの貸株料金が2.4円上乗せって事だから、1万株借りてると、毎日2万4千円ずつ払わないといけない。
これは大変だと言うことで、損切りのために買い戻しが進むハズだったが、なんと翌日さらにストップ高になった上、貸株禁止(新規申し込み停止)になった。
これだけ上がってるのに、さらに空売りが増えたんだね。
そこで6日目はもう寄りつきからストップ高になってしまったが、7日目は、寄りつきでストップ高をつけたにもかかわらず、寄り天になって、そこから大幅下落が始まった。
このとき、一体何が起こったのかよくわからなかったのだが、実は前日に日証金が新たに企業オーナーから株を調達して、この日から貸株を再開していたのだ。
逆日歩も、実は2.4から0.2に突然下がっていたから、なんか変な感じだなとは思っていたが、何せ5回ストップ高になっていた銘柄だから、そんなに急に下落し始めるとは思わなかった。
しかし空売りが再開されて、ストップ高で寄りついた後は、あっと言う間に値を消してマイナス圏まで下がった。
このときはまだ逆日歩が急減した理由がよくわからなかったので、私も高値で利益確定し損なったのだが、かなり悔やまれる。
わかっていたら、さっさと売りを出して利益を確定していたのに。
その後、この銘柄の株価は4日連続で下落し、そこで2回目の貸株注意喚起が出た。
今度は下落トレンドでの貸株注意喚起で、翌日の株価は上昇したが、そのあとはギャップアップスタートから陰線になる日が続いた。
こういう風に、貸株注意喚起や新規売り停止が出ても、株価が爆上げするケースもまれにあるから、様子を見ながら株は処分すべきだろう。