レパトリとは、決算月に自国通貨が高くなること
更新日:
為替やFXの用語で「レパトリ」という用語がある。
レパトリとはrepatriationの略語で、意味は「本国送還/帰還」と訳される。
つまり外国に行っていたモノが、本国に帰ってくるという意味だ。
ただし為替やFXでレパトリというと、国内企業が外国から、お金を本国に戻すことを言う。
そのために、年度末の決算月が近づくにつれて、本国にお金を送金するための為替需要が発生する。
日本企業なら、外国で稼いだお金を、日本円に替えて日本に戻すので、円高になる。
アメリカの企業なら、外国で稼いだお金をドルに替えてアメリカに戻すので、ドル高になる。
そのため、それを見越した売買が発生し、大きく円高になったり、大きくドル高になったりしていたのだ。
つまり3月は日本企業が決算月だからレパトリが発生するので、1月下旬くらいからヘッジファンドが円買いを始めて円が上がりだし、これが3月まで続いて円高トレンドが起こると言うことだ。
かつて東日本大震災が起こった後、猛烈に円高になって、G7各国が協調介入して円高を阻止したことがあった。
東北の太平洋側にあった日本企業の工場が、津波で殆どが破壊されて輸出が大幅に減れば、日本企業の業績が大きく下がって、円の価値も大きく下がりそうなモノだが、どういうわけだか円高になってしまったのだ。
あの円高は、津波によって日本国内の工場が破壊されたため、日本の輸出企業が海外から日本に送金すると踏んで、円高が起こると考えた海外投資家が円を競って買ったかららしい。
あるいは、輸出企業とドル円の為替相場には相関関係があり、円高になると輸出企業の利益が減って、株価が下がるので、この逆で、津波によって収益が悪化して株価が下がったために、円高になったという説明もできなくはない。
どちらにせよ、とにかく世界中の投資家が、円高になるとイメージして我先に円買いに走り、1ドル75円まで円高が進んだわけだ。
レパトリは、もはやあてにならないアノマリー?
レパトリとはレパトリエーションの略で、為替やFXでは本国に資金を送ることだ。
外国で稼いでいる企業や、外国に投資している機関投資家は、決算月になると利益を確定して、儲けを本国に送金する。
これをレパトリと言うわけだ。
アメリカでは決算が11月か12月なので、10月から12月初めまでレパトリが起こり、外国で稼いだお金をドルに換金するのでドル高になる。
日本では、3月が決算月になるので、2月の初めから3月中旬がレパトリのタイミングだ。
なので為替やFXのアノマリーとしては、
- 10月11月は円安ドル高になる
- 1月から3月までは円高ドル安になる
- (日本の中間決算がある9月も円高になりやすい)
ところが、この為替のアノマリーが有効なのは、2008年のリーマンショック以前の話で、2008年末以降は五分五分にになっていて、この為替のアノマリーは、あまり当てにならなくなった。
ドル円のグラフでそれを確認してみると、確かにここ5年は五分五分っぽいね。
2014年なんか、殆どレパトリで反応していない感じも見える。
ドル円・為替のアノマリー(レパトリ)
なぜレパトリで為替のトレンドが起こらなくなったのかはよくわからない。
まあ恐らく、実需よりもはるかに大きな取引が行われるようになって、もはや実需が相場に与える影響が殆ど無くなったと言うことかもしれない。